広報さがみはら No.1284 平成26年(2014年)3月1日号 2・3面 ---------- 明るく希望にあふれる未来に向かって 施政方針の大要 平成26年度  2月19日から開催されている市議会3月定例会議の冒頭、加山俊夫市長が平成26年度施政方針演説を行いました。  この中で市長は、「明るく希望にあふれる未来に向かって」をテーマに、「広域交流拠点性のさらなる向上」「防災・減災対策の推進」「健やかで心豊かな暮らしの実現」「地方分権改革の推進」の4点を市政運営に当たっての重要な視点として取り組むことを表明しました。  全文は、各行政資料コーナーと市ホームページの 市長のページ でご覧になれます。 ※主要施策や予算のあらましは、本紙4月1日号でお知らせします。 問い合わせ 企画政策課 電話042−769−8203 平成26年度市長施政方針(抜粋)  わが国の経済は、デフレからの早期脱却と経済再生の実現に向けた取り組みにより、企業の業況判断や雇用情勢が改善し、また、個人消費が持ち直し傾向にあるなど、景気が緩やかに回復しつつありますが、海外景気の下振れが引き続き景気を下押しするリスクとなっているとともに、本年4月からの消費税率引き上げによる、景気への影響が懸念されております。  この影響を最小限とするため、5兆5,000億円規模の経済対策とともに、民間投資活性化を促進する税制の創設や自動車税制の見直しなどが検討されております。  また、引き続き検討が進められている社会保障制度改革など、地方行政や市民生活に密接に関わる課題を抱えており、今後の政治・経済動向に十分注意を払い、行財政運営を進めていく必要があります。  さらに、近隣諸国との歴史認識や領有権をめぐる諸問題、普天間基地移設問題によりあらためて提起された日米地位協定の運用見直しなど、わが国を取り巻く安全保障環境は引き続き厳しい状況にあり、相模総合補給廠(しょう)やキャンプ座間が所在する本市といたしましても、国の動向を注視していかなければなりません。  一方で、昨年、多くの国民が待ち望んでいた2020年オリンピック・パラリンピック競技大会の東京開催が決定いたしました。  未来を担う多くの子どもたちに夢と希望を与え、世界中の人々と平和の尊さを共有することで、よりよい世界の実現をめざすとともに、東日本大震災からの復興を加速させ、わが国全体が明るさを取り戻す原動力となるよう期待をするところであります。  本市におきましても、大会の成功に向け、関係自治体と連携を図るとともに、大会の開催や支援が本市の発展にもつながるような取り組みを進めてまいりたいと考えております。  さて、本年は本市にとりまして、昭和29年に市制を施行して60周年を迎える節目の年であり、また、私自身にとりましても、市長として、2期目の任期を締めくくる年となります。  このような年にスタートいたします「新・相模原市総合計画 中期実施計画」に掲げた事業を着実に推進し、誰もが安全で安心して暮らせる社会、明るく希望にあふれる未来を実現するため、市民の皆さまと力を合わせ、全身全霊を傾け、まい進してまいります。 重要な4つの視点 1 広域交流拠点性のさらなる向上  本市は首都圏南西部をリードする広域交流拠点都市として、魅力あふれる質の高いまちづくりを推進してまいりましたが、さらなる発展をめざすための下地が整いつつあります。  昨年9月に発表された橋本駅付近へのリニア中央新幹線の駅設置や、26年度に予定されているさがみ縦貫道路の市内区間の全線開通、相模原インターチェンジの開設など、本市の広域交流拠点都市としてのポテンシャルを飛躍的に向上させる事業が集中しており、これらを見据えた中で、本市としての成長戦略を描き、「人や企業に選ばれる都市づくり」を進めてまいります。 2 防災・減災対策の推進  未曽有の大規模災害である東日本大震災から3年がたちます。被災地におきましては、復興に向け着実に歩(あゆみ)を進めている一方、今なお不自由な暮らしを強いられている地域があることも忘れてはなりません。東日本大震災の教訓を踏まえ、自助・共助による自発的な防災活動を促進し、地域における防災力を高めるとともに、緊急に実施する必要性が高く、速効性のある防災・減災対策を推進してまいります。  本年9月1日の防災の日には、相模総合補給廠の一部返還予定地において、九都県市による合同防災訓練を実施いたします。今後、発生が懸念される首都直下地震や東海地震等による被害を最小限に食い止めるため、九都県市や国、防災関係機関等との連携強化を図るとともに、首都圏住民の防災意識の高揚と減災への備えの向上を図ってまいります。  また、銀河連邦の一員である大船渡市をはじめ、被災地へ今後も息の長い支援を続け、復興に向けた後押しを行ってまいります。これまで、市民や企業、団体の皆さまから頂きました多くのご厚意、ご協力に対しまして御礼を申し上げますとともに、引き続きご支援をお願い申し上げます。 3 健やかで心豊かな暮らしの実現  日本全体で少子高齢化が進行する中、本市におきましても、地域社会の活力の低下や労働力人口の減少などが懸念されます。  このような中、家庭、学校、地域、市が一丸となって、次代のさがみはらを担う子どもたちの健やかな成長を支えるための取り組みを進めるとともに、子どもを生み育てることに喜びを感じ、子育て世代が育児と仕事の両立を図ることができるよう、子育て支援に向けた環境の整備を着実に進めてまいります。  また、地域全体で高齢者を支える地域包括ケアの推進など、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らすための環境整備を進めてまいります。 4 地方分権改革の推進  国においては、事務・権限の移譲等に関する見直し方針について、昨年末に閣議決定がなされ、県費負担教職員の給与等の負担並びに教職員定数や学級編制基準の決定のほか、都市計画区域マスタープランの決定に係る権限などについて、都道府県から指定都市への移譲が示される一方、法人市民税を一部国税化し、地方交付税として再配分するなど、地方分権改革の流れに逆行するような動きもあります。  地域がスピード感を持って自らの責任の下、施策に取り組むためには、さらなる分権が必要であると認識しており、昨年10月には、地方分権改革有識者会議の専門部会である農地・農村部会において、私は、指定都市の代表として、農地制度に係る権限移譲や規制緩和について強く訴えてまいりました。  今後もあらゆる機会を捉えて、国・県からの事務・権限と、それに伴う財源の移譲を求めるとともに、地域の実情をよく知る基礎自治体が主体的に施策を展開できるよう、真の分権型社会の構築をめざし、市民主体のまちづくりを力強く進めてまいります。 ---------- 持続可能な都市経営の推進  厳しい財政環境の下、限られた財源と資産を有効活用し、市民福祉を向上させるための効果的な施策を推進するため、「さがみはら都市経営指針」「実行計画」に基づき、積極的な歳入確保と徹底した事務事業の精査・効率化などを進め、将来にわたって持続可能な都市経営に取り組むとともに、市民目線に立ったまちづくりを進めてまいります。 継続事業 「公共施設の保全・利活用基本指針」に基づく公共施設の整備、更新・改修の実施 継続事業 「土木施設維持管理基本方針」に基づく土木インフラ施設の維持管理 継続事業 人件費の抑制 継続事業 市税等収納率の向上 新規事業 新たな財源対策の推進 新規事業 各種証明書のコンビニ交付の導入に向けた取り組み 新規事業 社会保障・税番号制度への対応 継続事業 公文書館の整備 継続事業 総合計画等の着実な推進 ---------- 予算  本市の財政は、市税収入に緩やかな増加が見込まれる一方で、高齢化の進行などにより、扶助費をはじめとした義務的経費が増加を続けており、今後においても依然として厳しい財政運営を強いられることが見込まれます。  こうした厳しい財政状況にあっても、26年度予算編成に当たりましては、あらゆる事務事業を精査しながら、暮らしの向上や広域交流拠点都市としてのさらなる発展に向けて、中期実施計画の着実な推進に重点を置いた編成を行いました。 会計 一般会計 予算案 2,576億円 前年度比 5.4%増 会計 特別会計 予算案 1,725億円 前年度比 4.1%増 会計 合計 予算案 4,301億円 前年度比 4.8%増 会計 公営企業会計 予算案 279億円 前年度比 4.7%増 ※国の大型補正予算を受け一体的に編成した25年度3月補正予算との合計(一般会計)では、2,624億円、前年度比2.5%増となっています。 ---------- 市政運営の5つの柱と主な取り組み 1 にぎわいと活力に満ち、市民がいきいきと暮らせる都市づくり  首都圏南西部をリードする広域交流拠点都市として発展を続けていくため、成長戦略を持った都市基盤整備や産業を中心とした新たな拠点づくり、にぎわいのあるまちづくりに取り組みます。 広域交流拠点の形成、交通ネットワークの充実 継続事業 橋本駅周辺地区の整備計画の策定 継続事業 相模原駅周辺地区の整備計画の策定 継続事業 小田急多摩線の延伸に向けた取り組み 継続事業 新しい交通システム導入に向けた検討 継続事業 交通不便地区等における生活交通の確保 継続事業 津久井広域道路の整備  継続事業 都市計画道路の整備 産業を中心とした新たな拠点づくり 新規事業 「(仮称)新・産業振興ビジョン」の策定 継続事業 当麻地区土地区画整理事業の促進 継続事業 川尻大島界地区土地区画整理事業の促進 新規事業 麻溝台・新磯野地区整備事業の推進  継続事業 金原・串川地区新産業拠点形成の推進 地域産業の活性化 継続事業 中小企業融資制度などの支援拡充 継続事業 中小企業の技術研究開発の促進 継続事業 産業支援機関との連携強化、産学連携・企業間連携の推進 継続事業 総合就職支援センターを中心とした就労支援の推進 新規事業 女性が働きやすい環境の整備 にぎわいと活力を創出する商業・観光の振興 継続事業 商店街の環境整備などの支援の推進 継続事業 魅力ある観光エリアの形成の促進、観光人材育成の推進、観光情報の発信 継続事業 農産物直売所の運営支援などによる「地産地消」の推進 継続事業 JAXAと連携した「宇宙」をテーマとした事業の実施 継続事業 市制施行60周年記念事業の実施 ---------- 2 災害に強く、健康で心安らかに暮らせるまちづくり  あらゆる施策の基本となるのが、防災、防犯、福祉や医療など、安全・ 安心に関する取り組みです。市民の皆さんが、安全かつ安心な暮らしを実感できる地域社会をめざします。 防災・減災対策 継続事業 防災スクールの実施などによる地域防災力の向上 継続事業 女性や高齢者等に配慮した備蓄の拡充などによる避難対策の充実 新規事業 防災教育の推進 新規事業 建築物に対する耐震化の促進 新規事業 宅地耐震化の推進 暮らしにおける安全・安心の確保 継続事業 相原分署の整備  新規事業 津久井消防署の整備 新規事業 青根分署の整備 継続事業 救急高度化の推進 継続事業 消費者啓発事業の推進 継続事業 自転車事故対策の推進 継続事業 ドメスティックバイオレンス対策の推進 地域福祉の推進 継続事業 第3期地域福祉計画の策定 高齢者福祉の向上 継続事業 第6期高齢者保健福祉計画の策定 継続事業 特別養護老人ホーム等の整備 継続事業 地域包括支援センターの整備 障害福祉の充実 継続事業 障害福祉施設の整備 新規事業 相談支援キーステーションの運営 医療体制の拡充 継続事業 総合診療医の確保・育成対策の推進 新規事業 風しん抗体検査の実施、予防接種費用の助成 継続事業 胃がん検診内視鏡検査の拡充 基地対策 継続事業 早期利用・返還に向けた取り組み、騒音などの課題解消に向けた要望活動 ---------- 3 健全で希望にあふれる次世代を守り、はぐくむ環境づくり  安心して子どもを育てられる環境づくりを進めるとともに、子どもたちが将来の夢を抱きながら生き生きと成長していくことができるよう、社会全体で支える環境づくりを進めていきます。 子育てを支える環境づくり 新規事業 子ども・子育て支援事業計画の策定 継続事業 民間保育所の整備 新規事業 小規模保育事業の実施 継続事業 認定保育室の利用の促進 継続事業 児童クラブの整備 継続事業 放課後子ども教室事業の拡充 新規事業 寡婦(夫)控除のみなし適用 継続事業 小児医療費助成事業の拡充 生きる力をはぐくむ学校教育の推進 新規事業 児童支援体制の強化 新規事業 「いじめ防止基本方針」に基づいた、いじめ防止対策の推進 新規事業 中学校3年生における35人以下学級のモデル実施 継続事業 校舎改修事業、トイレ改修事業、給食室改築事業 新規事業 小・中学校への空調設備の設置に向けた取り組み ---------- 4 地球環境を保ち、自然と共生する社会づくり  地球温暖化対策や自然環境の保全は大きな課題です。地球のため、将来の子どもたちのため、企業や市民一人ひとりの意識を高める施策を進めていきます。 地球温暖化対策 継続事業 再生可能エネルギー利用設備等の設置促進 継続事業 中小企業に対する省エネルギー対策の推進 資源循環型社会の形成 継続事業 4Rの推進に対する市民意識の醸成 自然環境の保全 新規事業 「(仮称)環境影響評価条例」の制定 ---------- 5 市民が輝き、市民が主役の地域づくり  まちづくりの主役である市民が地域社会の担い手として、主体的にまちづくりに取り組むことができる環境づくりと、市民の皆さんが誇れる郷土づくりを進めていきます。 市民協働の推進と市民自治に根ざしたまちづくり 継続事業 区役所機能の強化 新規事業 「市民協働推進基本計画」に基づいた事業の推進 継続事業 自治会の加入促進  継続事業 NPO法人などの市民活動の促進 継続事業 ユニコムプラザさがみはら(市民・大学交流センター)の運営 市民が誇りや愛着を持てる郷土づくり 継続事業 区制を生かしたまちづくりの推進 心豊かに生活できる地域づくり 継続事業 市民会館のリニューアル事業 継続事業 フォトシティさがみはらの開催、アートラボはしもとの運営 継続事業 相模原麻溝公園外周ジョギングコースの整備 継続事業 (仮称)横山公園多目的フィールドの整備 継続事業 相模総合補給廠共同使用区域(スポーツ・レクリエーションゾーン)の整備に向けた取り組み 新規事業 武道館機能を有する総合体育施設等の整備に向けた検討 新規事業 Jリーグ施設基準等を満たしたスタジアムの整備に向けた調査・検討 継続事業 ホームタウンチームやアスリートの活動に対する支援 ---------- むすびに  わが国は今、再生に向け着実な一歩を踏み出しつつあります。  激動する社会情勢の中、今こそ国民が一丸となり、さまざまな改革を進め、未来を切り拓(ひら)いていくことが求められております。  このような状況において、本市が市民生活に直結したさまざまな施策に真しんし摯に取り組み、政令指定都市としての権限と責任において、他都市との連携をより一層深めながら発展を遂げることこそ、日本全体の再生、発展につながるものと確信しております。  市制施行60周年に当たる記念すべき年を市民の皆さまと迎えられることを大変うれしく思うとともに、先人の英知とたゆまぬ努力により着実な発展を続けてきたこれまでのまちづくりを振り返り、市民の皆さまや事業者の皆さまとともに、ふるさと相模原の明るく希望にあふれる未来に向けて、全力を尽くしてまいる所存であります。  市民の皆さまの市政に対するご理解と一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。