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ギャラリースタッフセレクション5 小野里 浩二(おのざと こうじ)展

この展覧会は、各ギャラリースタッフが注目する若手作家を、毎回厳選し紹介していくシリーズ展です。

平成16年3月13日(土曜日)から5月11日(火曜日)まで

小野里 浩二展

「あなたがここにいてほしい」(参考作品)

「あなたがここにいてほしい」(参考作品)

プロフィール

小野里 浩二

  • 1958年
    山形県米沢市生まれ
  • 1981年
    多摩美術大学油絵科卒業

個展・グループ展等

  • 1995年
    個展「絵と音 PART1」
    東京赤坂ドイツ文化会館にて展示・演奏
  • 1996年
    個展「絵と音 PART2」(東京、銀座)
  • 1997年
    個展「絵と音 PART3」(東京、銀座)
  • 1998年
    個展「絵と音 PART4」(東京、銀座)
  • 1999年
    個展「絵と音 PART5」(東京、銀座)
  • 2000年
    個展「絵と音 PART6」(東京、銀座)
  • 2001年
    個展「絵と音 PART7」(東京、銀座)
  • 2002年
    個展「絵と音 PART8」(東京、銀座)
  • 2003年
    個展「絵と音 PART9」(東京、銀座)
  • 2004年
    個展「絵と音 PART10」(東京、銀座)

解説

小野里浩二と「〇」

柳川雅史(やながわ まさふみ)

円形は、原理的にみてもっとも根源的な幾何学的基本図形である。その空間系を示すとすれば、超マクロ的には銀河系・太陽系などの構成パターンがあり、超ミクロ的には原子核とそれを取り巻く電子から成る原子の例がある。我々の身近な世界においても、自然界での結晶体や動植物の細胞組織など、相称的な構造を形成するものはすべてこの範疇に属するものであり、古来より人はそれを宇宙生成の神話として語り継ぎ、最新科学で真理を追いつづけてきた。
小野里浩二はその円形に拘った作家である。宇宙構造とも細胞組織とも見て取れる彼の作品は「世界を構成する根源的な要素」(本人談)のひとつとしての「○」をモティーフとしたものであり、生命をはじめとする万物の発生を示唆している。と同時に形・色とともに視覚的作用に重要な要素をもつ材質にもこだわりを見せている。この場合、材質とは文字通り作品の材質である。小野里はキャンバスに東京ドームを覆っているガラス繊維を使い、さらに絵具の表面に粉末ガラスによるカヴァーを施している。それにより微妙な光の反射が発生し、作品に生命感が与えられる。そして円形は鼓動を始める。
さらに小野里は表現方法の多重性を試み、個々の作品に自らが作曲したメロディーを付けている。シンセサイザーによる環境音楽ともいえるそのメロディーは、キャンバスに忽然と現われた円形と同調し、やがてその円形を緩やかな回転運動へと導く。同時に鑑賞者は自らがひとつの細胞体となり、無意識の中に自己を埋没させる錯覚に陥る。広義の「癒し」である。(今回の展示場所に音響設備を常備できないのが残念だが。)
しかし、小野里の作品を単に癒しと結論付けてしまうのはいささか性急すぎる。
最近、彼は画面の外へのびゆく幾重もの円弧と、その中に無数に広がる小さな円形を描くようになった。それは水面の波紋を連想させ、その中を気持ち良さそうに浮かぶ人影もみられる。もし仮に水面が一点の波紋も許さず静かに張り詰めていたとすれば、人影は緊張の中に身を固め、身動きすらできないだろう。波紋は人影を開放している。

「私の作品を見た人が海に行ってみようと思ってくれればいい」

癒しを求める人々の裏側に現代社会の病理が隠されていることを忘れてならない。我々も緊張した日常から解き放たれ、自己を再生するためにも、時に小野里のいう「海」を目指さなければならないのだろう。
そこには単純な基本図形でありながらも自己を開放し、癒しを与えてくれる万物の根源「○」が待っている。

相模原市民ギャラリー 学芸員

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