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ギャラリースタッフセレクション7 はなつ 松本 三和(まつもと みわ)展

ギャラリースタッフセレクションはギャラリースタッフが、注目する若手作家を毎回厳選し紹介していくシリーズ展です。

平成17年1月10日(月曜日)から3月5日(土曜日)まで、午前9時から午後7時まで(土曜・日曜・祝日は午後5時まで)

出品作品

「銀モール」

「銀モール」(出品作品) キャンバス・木炭、2004年

  • キャンバス・木炭、2004年

「受け皿」

「受け皿」(出品作品) キャンバス・木炭、2004

  • キャンバス・木炭、2004

プロフィール

松本 三和

  • 1975年
    福岡県生まれ
  • 1999年
    東京造形大学 美術1類 版表現コース研究生修了

個展

  • 2000年
    12月 トキアートスペース(渋谷)
  • 2002年
    7月 「浮かれ」switch point(国分寺)
    10月 「新世界」西瓜糖(阿佐ヶ谷)
  • 2004年
    11月 「口火」switch point(国分寺)

グループ展等

  • 2001年
    5月 「リトルネロ」文房堂ギャラリー(神保町)
  • 2002年
    4月 「彩色健美」洋協ホール(銀座)
    6月 「栞展」藍画廊(銀座)
  • 2003年
    2月 「ココロ」switch point(国分寺)
    3月 「FLAT PLAT」神奈川県民ホール(横浜)
    8月 「栞展=栞店」藍画廊(銀座)
    8月 「オープンスタジオ」相模原市民ギャラリー(相模原)
  • 2004年
    3月 「FLAT PLAT」神奈川県民ホール(横浜)
    5月 海岸通りギャラリーCASO(大阪)

解説

木下 朝美(きのした あさみ)

対象の輪郭線を描き、その筆致を極端に減らすことで、水墨画のような暗示的な絵画を描いてきた松本三和。描かれた線は、小さな紙切れに描かれたような、さりげなさであるが、40センチ四方を越える画面に描かれていることを考えると、それが即興ではなく、あらかじめ作家によって構想されたものであることに気が付く。
近作では、木炭を用いて、更なる展開を見せる。画材として使われる木炭は、柳や桐などを蒸し焼きにして、細く柔らかくした炭である。木炭画は、線をぼかすことで得られる柔らかな明暗が魅力であるが、鉛筆のように消しやすい点から、微妙な光を表現する石膏デッサンや油絵の下絵などでよく使用される。むしろ、画面に定着しにくいため、タブロー(完成された作品)として使用されることの方が稀である。この木炭の柔らかいグラデーションによって、画面に「あたたかさ」が生まれるのである。
松本の作品には、木々の煌きやストーブのあかりなど、日常生活の中から見出されるものがモチーフとして取り上げられている。それらの対象がかすかな面影のように描かれることで、郷愁や憧憬といった過去の記憶が情感豊かに描写され、作品化されるのである。子供の頃、石油ストーブのあかりをうっとりと眺めた経験は誰にもあるだろう。その感覚である。炎には、暖炉や囲炉裏といったある種の懐古的な感覚や、より深部にある原始的な遠い記憶というような様々な思いがこもっている。モチーフは、写実的に描かれているわけではないが、その描かれた炎や光を見た時、我々は直感的に記憶にある姿やかたちを心に浮かべるのである。
松本三和は、現実的な実感を大切にしながら、その感覚を冷静に分析し、自らの手法で絵画として表現しようとしている作家である。木炭の情緒的な線や記憶の中にあるイメージを呼び起こす描画方法は、松本の中にあるリアリティを表現するために選ばれたものであり、それは戦略というよりは、制作に対する純粋な衝動から発生したものであろう。松本の作品は、作家自身でしか見出しえなかったテーマを発見した喜びと驚きが原動力となり描かれているのだ。
画家は、光・感情を絵として留めることができる存在である。松本は普段の暮らしから美を見出した。それは、我々の日常の暮らしそのものが、自然の営みのひとつであり、世界が美しいことをあらためて気付かせてくれるための「口火」なのではなかろうか。

相模原市民ギャラリー 美術専門員

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