ギャラリースタッフセレクション12 南舘 麻美子(みなみだて まみこ)
この展覧会は、各ギャラリースタッフが注目する若手作家を、毎回厳選し紹介していくシリーズ展です。
2004年1月13日(土曜日)から3月6日(日曜日)まで
出品作品
take good aim
two house hold
ワークショップ
- タイトル
小学生向けワークショップ「みんなでつくろう!版画商店街」 - 内容
参加した小学生が思い思いのお店を描き、最後に一列に並べて夢の商店街をつくる。木工用ボンドを使ったユニークな版画。
(注)使用する版画技法は、クラフトテープでつくった版にボールペンで描きながら凹みをつくる。インクを詰めた後、木工用接着剤を剥がしながら刷る。刃物やプレス機を使用せず、身近な材料でできるユニークな版画である。 - 日時
平成18年3月25日(土曜日)、26日(日曜日)、午後1時開始、午後3時終了予定 - 場所
相模原市民ギャラリー 会議室 - 対象
小学生(保護者各同伴は可能) - 定員
各回 20名 - 持ち物
エプロン・ボールペン・クレヨン・ドライヤー - 参加費
650円(材料費) - 応募方法
電話にて受付をする。先着順。 - 応募窓口
相模原市民ギャラリー
電話 042-776-1262
お問い合わせ時間 午前9時から午後5時まで
プロフィール
- 1971年
岩手県盛岡市に生まれる - 1995年
多摩美術大学美術学部絵画科油画専攻版画コース卒業 - 1998年
多摩美術大学大学院美術研究科版画科修了 - 2003年
多摩美術大学美術学部絵画科版画副手 - 2005年
多摩美術大学美術学部絵画科版画助手
個展
- 1998年
個展(ギャラリーこいち、東京) - 1999年
個展(Gallery Jin、東京) - 2001年
「Freakish things」(Za Gallery、文京) - 2002年
「小さな出来事」(Gallery Jin、東京)
個展(リベラル、広島)
「ぐるり周って」(湘南台画廊、神奈川) - 2003年
個展(Gallery Jin、東京)
個展(リベラル、広島) - 2004年
個展(淳子美術館、岩手北上) - 2005年
「waking」(湘南台画廊、神奈川)
グループ展
- 1997年
「The 3rd British International Miniature Print Exhibition」(Off - center gallery、Bristol・U.K) - 1998年
「第1回大野城まどかぴあ版画展」池田満寿夫大賞受賞(大野城まどかぴあ、福岡・大野城)
「第2回東京国際現代ミニプリント・トリエンナーレ」(多摩美術大学附属美術館、東京) - 1999年
「第18回伊豆美術祭絵画公募展」賞候補(伊東市観光会館、静岡・伊東)
「International KHJC Symposium and exhibition program on Printmaking」(Hanlim Gallery、韓国) - 2000年
「Relativites The 3rd British Internatioal Miniature Print Exhibition」(Off - center gallery、Bristol・U.K)
第19回伊豆美術祭絵画公募展 賞候補(伊東市観光会館、静岡・伊東) - 2002年
「第10回プリンツ21グランプリ展」版画特別賞受賞(湯河原ジャポニズム美術館・静岡県立美術館) - 2004年
「第1回東京コンペ」佳作(丸ビル、東京) - 2005年
「動物幻想国‐5人の作家による立体造形」展(相模原市民ギャラリー)
解説
木下朝美(きのした あさみ)
南舘麻美子が「幻灯の家」シリーズを手がけるに至ったきっかけは、岩手へ帰郷する際に車窓から眺めた「奇妙な家々」のせいだ。見かけはごく普通の家なのに、床から下に4本の長い足がついていたという。それも一軒だけでなく、何軒も並んでいたのだ。それらにはきっと何らかの理由があったのだろうが、南舘は自分の想像力を超える現実に衝撃を受けた。「我々の空想が現実をつくっているのではないか。」と。と同時に、南舘自身が「家」に対するこだわりを持っていることに気がついた。
2004年頃から南舘の作品には、「イエネコ」が登場する。都会的なオフィス街に家庭的な空間をつくり上げたい、というコンセプトのもとに制作されたものであるが、屋内で飼われている「家猫」と言葉の響きから連想されるイメージによる、いわば言葉遊びに近いものがある。最近では、この「家」というモチーフに「幻灯」というイメージを組み合わせた。
「幻灯の家」シリーズは、ほの暗いモノローグで描かれている。版画ではあるが、木版リトグラフという手法は、ドローイングすることも可能だ。
人や鳥獣などを模した形を電灯などで照らして、障子や壁紙などにその影をうつし遊んだ経験は、誰にでもあるだろう。いわゆる影絵遊びである。本展の出品作には、そのような幻灯で作られた影のようなイメージが登場する。作者の希望や憧れが幻影のようになったとも思えるが、どこか哀愁がある。
南舘の手法は、作家の内面世界を投影させたものである。現実をありのままに写すのではなく、絵の中に虚構の世界を作り出す。作家自身、岩手の鹿おどりや縄文文化など土着的なものに惹かれていると言っているが、それはストレートには表れない。むしろ、その世界に外国のものや時代の目新しいものも取り入れて、様々なイメージをミックスすることで、新たな世界を創り出している。その面白さが、絵画制作への衝動になっている。
南舘の創作する作品の多くは、誇張した空想世界が描かれている。そして、そこに表れる「かわいらしい稚拙さ」と「不条理さ」が作品の魅力である。それらは、風刺漫画的なおかしみとも呼べるかもしれない。風刺漫画家は、自然の中に潜む歪みや目につかない運動を誇張し、拡大して誰の目にも見えるようにすることで、笑いを誘う。
南舘の過去の作品にたびたび登場する動物たちが滑稽なのは、「しかめっ面」だからである。「眉間に皺をよせ、頬を膨らます」という運動が描かれているからだ。その歪んだ様が、我々の関心をひき、笑いを誘うのである。南舘の「幻灯の家」シリーズのなかにも、親指を人差し指で輪をつくり「覗く」という作品があるが、この動作がまさしく漫画的な世界を表現している。
南舘は、脳が作り出したイメージを具現化しているが、その作品には同時代を生きる人々に夢や理想を感じさせる強さがある。それは、作者が現実を飽きずに受け止め、そこからアイディアを着想しているからであろう。
相模原市民ギャラリー 美術専門員
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