広報さがみはら No.1429 令和2年(2020年)3月15日号 6.7面
----------

得意なこと苦手なことは 人それぞれ違う
発達障害を知ろう
一人ひとりの「特性」が音符のように集まればすてきなメロディが奏でられるはず。
 「発達障害」という言葉がメディアで取り上げられるようになり、認知度が上がってきたのは、最近のことです。
 発達障害のある人には、どんな苦労があり、どんなサポートを得て、自分らしさを発揮しながら生活しているのでしょうか。
 発達障害のあるご本人と、支援に携わってきた有識者にお話を伺いました。

interview 当事者から
30代男性。企業に障害者雇用枠で就労し、現在は正社員としてコンピューター機器などを統括する仕事を任される。趣味はサッカー観戦で、各地での観戦やチームの情報収集などを楽しむ。日々、家族のために皿洗いや食器の片づけなどの家事をしている

母の後押しが発達障害の相談につながった
 プログラマーとして就職しましたが、パソコン操作が得意でも職場では違うスキルが求められ、人間関係のつらさもあって、会社を二度辞めたことが相談のきっかけです。母が図書館で借りてきた本に載っていた特性と自分がよく似ているなあと思い、発達障害支援センターに相談しました。医師の診断は「広汎性(こうはんせい)発達障害」とのことでした。
 障害がはっきり分かって安心しました。

特性に合った働き方ができるから仕事が続く
 診断を受けた後、障害者手帳を取得し、障害者職業センターやハローワークとも相談して、障害者雇用枠で就労し、契約社員としてスタートしました。仕事ぶりが認められて今は正社員として働いています。会社では社内のコンピューター機器などを統括・管理する部署で働いています。

仕事で困るのは話す機会の持ちにくさ 
自分の余裕が持てないとき
 職場の人に質問があるときに、相手が忙しく話す時間が持てないときが困ります。あとは仕事の依頼で、1週間前に言ってもらえれば余裕を持ってできることでも、3日前だと、余裕がなくなるときです。困ったときは、職場の人とパソコンのチャットでやりとりしながら進めています。

「苦手さ」に合わせてくれるサポートがある
 指導してくれる先輩は、実際にやって見せる方法で丁寧な教え方をしてくれます。やって見せてくれたことを手本とするから、仕事がやりやすいです。それに、たとえ忙しくても時間をかけて質問に答えてくれるなど、話をじっくりと聞いてくれます。

教わったように丁寧に 一度に抱え込まないように
 今は一人で対応することが増えてきたのですが、先輩が自分にしてくれたように、職場の人に説明するときは必ず丁寧に教えるようにして、一度の説明で全部を理解してもらおうとしないことを心掛けています。また、自分の仕事管理として、すぐに終わるものから順に取り掛かって、仕事を抱え込まないようにしています。10分・1時間・3日で終わるものと分けて取り組むと、一度にすることは1個で済むからです。

当事者からのメッセージ
 発達障害の特性は人によって違います。本などで情報を知ってもらうことも大切ですが、その人自身を見てほしいです。

interview 支援している有識者から
日戸由刈(にっと ゆかり)さん
相模女子大学人間社会学部人間心理学科教授、市発達障害者支援地域協議会会長を務める

その人だけが持つ発達特性が社会と折り合わないこと
それが発達障害
 発達障害のある人は、物事の捉え方や理解の仕方が独特です。例えば、同時に複数の情報を受け取り理解することが苦手です。1対1での会話では問題がなくても、3人以上の会話になると話の流れの理解がとても難しくなってしまいます。そのため、人とのコミュニケーションや社会への参加がとても難しいと感じるようになるなど、生活の障害につながりやすいのです。

発達障害は発達の多様性のひとつ
そして社会の中では少数派
 発達障害に限らず、人の発達はとても複雑でさまざまです。多くの人は日々の生活を通して、生活に必要な習慣や、社会の枠組みに対して広く注意や関心を向けることで、特に教えられなくても自然と身に付けることができます。でも、発達障害の人たちは、こうした教えられないことの理解が難しく、一つひとつを丁寧に教えてもらわないと、少数派の彼らが社会の中でやっていくことが難しいのです。

周りの人は「黒子」となってサポートを
人生の主役はご本人
 まずは、ご本人がどのような発達の特性を持っているのかを理解してほしいです。そして、気になることがあったら発達障害支援センターなど専門機関に相談してください。また、ご家族は「黒子」になってサポートする心構えが大切です。黒子とは、舞台の上で役者が自由に演技できるように、介添えをする大事な役目です。ご本人が自分のすべきことを自分で判断し、困ったときは安心して人に頼れる環境や、興味や関心のあることを追求し満足して、人に自慢できるような環境を作ってあげる。生活の小さなことから始めてみてください。


発達障害を知ろう
どんな特性?いくつかの種類があります。

自閉症
広汎性(こうはんせい)発達障害
●言葉の発達の遅れ
●コミュニケーションの障害
●対人関係・社会性の障害
●パターン化した行動、こだわり

知的な遅れを伴うこともあります

アスペルガー症候群
●基本的に、言葉の発達の遅れはない
●コミュニケーションの障害
●対人関係・社会性の障害
●パターン化した行動、興味・関心の偏り
●不器用

ADHD
注意欠陥多動性障害
●不注意(集中できない)
●多動・多弁(じっとしていられない)
●衝動的に行動する(考えるよりも先に動く)

LD
学習障害
●「読む」「書く」「計算する」などの能力が、全体的な知的発達に比べて極端に苦手

※このほか、トゥレット症候群や吃音(きつおん)(症)なども発達障害に含まれます。
厚生労働省「発達障害の理解のために」より

例えばこんな特性
・視線が合いにくい
・興味のあることを追求する
・人の気持ちを想像することが苦手
・視覚的に学ぶことが得意
・変更が苦手。順番ややり方をいつも同じようにしたがる
・特定の音や光、におい、肌触りなどに対して過敏だったり、気づきが低かったりする
※特性の現れ方には個人差があります。

発達障害への誤解
わがままに見える
怠けているように見える

でも実は
苦手なことだから…
感覚が過敏でつらい
どこに注目してよいか分からない
言われていることがイメージできない

本人はとても困っています!


正しい理解を!
啓発イベントに行く
 自閉症のことを広く知ってもらうために、国連が4月2日を「世界自閉症啓発デー」としました。本市でも、自閉症などの発達障害を広く知ってもらうイベントを開催します。
 各図書館で 発達障害の本の紹介、発達障害のある人の感覚を疑似体験できるコーナーを特設
 市立図書館で 相模原やまびこ会(市自閉症児・者親の会)の作品を展示
ぜひ、お立ち寄りください。
日時 3月17日(火曜日)から4月4日(土曜日)まで〈休館日を除く〉

本を読む
『発達障害がよくわかる本』
(本田秀夫著/講談社/2018)
 発達障害の入門書です。発達障害を知りたいと思ったときに最初に読んでいただきたい本です。

『発達障害の子の立ち直り力「レジリエンス」を育てる本』
(藤野博・日戸由刈著/講談社/2015)
 困難に直面しやすい発達障害の子にとって必要な心の回復力・立ち直る力(レジリエンス)の育て方について解説しています。


発達障害をサポートしよう
あなたにもできるサポート
 市では、発達障害のある人とその家族の生活をサポートするツールの1つとして、「サポートカード」を、希望者に配布しています。
●サポートカードってなに?
 生活のさまざまな場面や、災害時などで困ったときに、周囲に理解してほしいことや配慮してほしいことを、伝えるためのカードです。
●提示されたらどうすればいいの?
 カードに書かれている内容について、できる範囲でのご協力をお願いします。


気になるときは相談を
子どもから大人まで、発達や発達障害に関する相談を受け付けています。

乳幼児期から小学生の相談
緑子育て支援センター 
橋本・大沢・城山地区 電話042-775-1760
津久井地区 電話042-780-1420
相模湖地区 電話042-684-3737
藤野地区 電話042-687-5515
中央子育て支援センター 電話042-756-8424
南子育て支援センター 電話042-701-7727
※各センターの療育相談班が担当します。

中学生から成人の相談
市発達障害支援センター 電話042-756-8411
※中学生の相談は、4月1日からお住まいの地域の子育て支援センターで受け付けます。

来所での相談は予約制です。
まずは電話でご相談ください。
※月曜日から金曜日(年末年始・祝日を除く)
午前8時30分から午後5時

問い合わせ 市発達障害支援センター 電話042-756-8411
----------

市シティセールスFacebookページ「相模原市シティセールス」
@sagamihara.pr

市シティセールスTwitter「相模原市シティセールス」
@Sagamihara_PR

アクセスしてね♪