広報さがみはら No.1443 令和2年(2020年)10月15日号 6.7面 ---------- 10月は里親月間 いろんな形家族の形「里親制度」を知ろう  さまざまな事情で親と暮らすことができない子どもに、家庭という居場所を届ける「里親制度」。実の親子ではないけれど、長い時間をかけて信頼関係を築いた、温かな家族の笑顔がここにあります。 里親制度とは  児童福祉法に基づき、保護者と一緒に生活できない18歳までの子どもを里親家庭に迎え入れ、里親が愛情と理解を持って養育する公的制度 Interview 形を変えながらもつながり続けた私たち家族のかたち 里親の前田誠一さんと一緒に取材を受けてくれた小林千紘さんは5歳の時、2歳年下の妹と一緒に前田さん夫婦に里子として引き取られました。現在は、1歳半になる愛娘とともに前田家で暮らしています。 きっかけは1本の新聞記事 前田さん「結婚後、なかなか子宝に恵まれず、そんな時にたまたま目にした新聞記事がきっかけで里親制度を知り、夫婦で相談して登録しました。幼い姉妹を里子に迎えないかとの話があった時、2人も育てられるかと迷いもありましたが、夫婦でよく話し合って受け入れることにしました。」 小林さん「最初に2人(前田夫妻)に会った時のことは、正直覚えていませんが(笑)、お誕生日に手作りのからあげでお祝いしてくれたことがうれしくて記憶に残っています。当時、絵日記をつけていたのですが、毎日、晩ごはんの絵ばかり描いていましたね(笑)。」 大人になる過程で深まっていった、姉妹と前田さんとの関係性 小林さん「小さい頃には、反抗期の妹に付き合って2人で家出し、自動販売機の横で寒さをしのいだ冬の夜もありました。でも、そんな妹も今では子どもを連れてここ(前田家)に泊まりに来ます。父と私たち姉妹とでお酒を飲むこともしょっちゅうあって、周りの人からも仲が良いねと言われます。」 前田さん「『家出事件』の後、別々に暮らした期間もありましたが、週末には食事やカラオケに行ったり、夏休みなどの長期休暇にはわが家で1週間ほど過ごしたり。長期委託から短期里親と形は変わりましたが、ずっとつながりを持ち続けてきました。 里親と里子の関係において、みんながみんな順調に運ぶわけではありませんし、人と人だから、うまくいかないこともあります。でも、子どもに幸せになってほしいと願う気持ちはいつもありました。次女が結婚するときに、『一緒にバージンロードを歩いてほしい』と言ってくれたのが、うれしくて心に残っていますね。」 小林さん「感受性が豊か過ぎた10代の頃は『家族なんていらない』と突っぱねるようなところもあったかもしれませんが、一緒に過ごす時間を通して、徐々に絆のようなものが育まれたんじゃないかと思います。 大きな相談事があるときも、自然と父母を頼りにしていました。高校3年生で進路に悩んでいたとき、父が学校の資料をたくさん探して用意してくれて…。結局その学校には行かなかったんですけど(笑)。」 前田さん「子どもは、自分の親から教えてもらった社会しか分からないもの。まだ見ぬ世界や可能性を子どもに提供してあげることは、大人の役割と考えています。その上で何を選ぶかは、本人次第ですけどね。」 里親としての経験を経て、いま 前田さん「里親になる前、当時勤めていた会社の同僚に『子どもがいる人生も一つの人生だし、子どものいない人生も一つの人生。両方はできないんだから』と言われたことがあります。でも、自分の場合はその両方を経験できて良かったという気持ちです。里子たちと向き合うことで教えられる部分がたくさんあって、私自身の世界も広がっていきました。」 小林さん「以前は『お父さん』と呼んでいましたが、娘が生まれてからは『じいじ』。本人は『前(まえ)じい』と呼ばせようとしていますが(笑)。この子が熱を出して、私が仕事を休めない時は、じいじが面倒を見てくれることもあるんですよ。」 前田さん「この外出自粛期間に歩けるようになったんですよ。小さな子どもの成長に立ち会えたのは、この上なくうれしかったですね。」 「里親制度に興味はあるけど踏み切れない」「うまくやっていけるか不安」、そんな人には、さまざまな制度を利用してほしい 前田さん「自分に里親が務まるのか、最初は不安に思うでしょう。でも、子どもと過ごす時間が少しでもあると、一緒に暮らしてみたいという気持ちが膨らむんじゃないでしょうか。まずは施設で子どもと触れ合うという体験もできます。また、里親として壁にぶつかったときには、里親同士の横のつながりが励みになります。何かあったとき、周囲や子どもへのケアと、里親へのケアを続けてくれる環境があることが、里親制度の普及に必要なことだと感じています。私自身も里親同士が互いに助け合う『さがみの里親会』でサポートに長く取り組んでいました。」 小林さん「里子の立場から言うと、自立した後でも、相談できる大人がいてくれるというのは、とてもありがたいことです。実父ではないけれど、本当の父です。父に出会えて、本当に良かったと思っています。」 あなたも里親になりませんか? 市内の現状  家族と離れて暮らす子どもたちは、市内に約240人。そのうち里親家庭などで暮らしている子どもたちは43人です(8月末時点)。国は里親等委託率を大幅に向上させることを目指し、各年齢の区分に応じた目標(50から75%)を定めていますが、本市では、まだまだ里親が足りていません。 【3歳未満の場合】国の目標:令和6年度までに75%以上 里親・ファミリーホームへの委託 75%(本市の現状の委託率約30%) 施設などへの委託 25% ファミリーホーム:一般の里親家庭よりも多くの児童(5から6人)を養育する制度 里親活動の種類 自分の状況に合った形で始められるよう、里親制度にもいろいろな選択肢があります。 短期 短期里親 施設で生活する子どもの家庭体験のため、月1回程度、子どもを里親の家庭に受け入れます。何年にもわたり、交流が続きます。 緊急短期里親(一時保護) 数日から2カ月程度、緊急的に子どもを里親の家庭に受け入れます。 長期 長期委託(措置) 数カ月から数年の長期間で、子どもを里親の家庭に受け入れます。養子縁組により法的な親子関係を結ぶケースもあります。 里親になるまでの流れ 1 相談 まずは児童相談所にご相談を。里親制度について詳しく説明します。 2 研修・調査 制度を知るための研修。家庭訪問・面接で、家庭の状況などを確認します。 3 認定・登録 必要な審査を経て、いよいよ里親に (2から3まで約6カ月) 4 新任研修 実習やグループワークなどで、里子と共に生活するための向き合い方を具体的に学びます。 5 里親委託 子どもとの出会い ※養育に必要な経費は支払われます。 サポートがあるから安心 里親の支援機関 児童相談所  里親制度の利用を希望する家庭に向け、各家庭の状況に合った制度の活用や、手続きなど、制度全般をフォローします。 さがみの里親会  市内の里親同士で、横のつながりを持ちながら情報交換や相互の親睦を深められる場です。 家庭養育支援センター  身近な専門機関として、電話相談や家庭訪問で里親をフォローします。スキルアップのための研修なども開催。 Event 里親制度への理解と関心が深まるイベントを開催します。 ●里親制度説明会 もっと知ってほしい里親制度のこと  日時 10月24日(土曜日)午後2時から4時 会場 市立図書館(中央区鹿沼台) 定員 20人(申し込み順) 申し込み 10月22日までに、Eメールに氏名、住所、電話番号を書いて児童相談所(Eメールjisou@city.sagamihara.kanagawa.jp)へ ●里親体験談 里親が実際の活動の様子をお話しします。 日にち 11月14日(土曜日) 時間 午前10時から正午 会場 大野北公民館 日にち 12月12日(土曜日) 時間 午前10時から正午 会場 南保健福祉センター 日にち 令和3年2月27日(土曜日) 時間 午前10時から正午 会場 橋本公民館 申し込み 電話で児童相談所(電話042-730-3500)へ 問い合わせ 児童相談所 電話042-730-3500 ---------- 市シティセールスFacebookページ「相模原市シティセールス」 @sagamihara.pr 市シティセールスTwitter「相模原市シティセールス」 @Sagamihara_PR