広報さがみはら No.1453 令和3年(2021年)3月15日号 6.7面 ---------- セクシュアリティ に決まったカタチなんてない 性のありかたって、いろいろだ  本市でパートナーシップ宣誓制度を開始してから間もなく1年がたちます。この機会に、この制度を利用した当事者やその支援活動をする人などにお話を聞きました。  「性」は、「男」「女」だけではなく、もっと多様なものです。性の在り方にかかわらず、誰もが自分らしく生きられる社会の実現について考えてみませんか。 問い合わせ 人権・男女共同参画課 電話042-769-8205 「おめでとう」と、言ってもらえる幸せ~市パートナーシップ宣誓制度を利用~  昨年11月にパートナーシップを宣誓した鈴木有紗さんと池川麻帆さん。周囲の反応や、宣誓して良かったことなどを話してもらいました。 たくさんの祝福をもらった「パートナーシップ宣誓」 鈴木さん 中学生の頃、同性である女性に恋愛感情を抱き、そのときに初めて「周りとちょっと違うのかな」と感じました。当時は、性的マイノリティ(以降「LGBT」と表記)について学ぶ機会がなかったので、知識がなく、「誰にも言えない…」と戸惑いました。でも、親友に打ち明けたところ、「そうなんだ。いいじゃん」と自然に受け入れてくれて、ほっとしましたね。家族には、今のパートナーとの出会いをきっかけに、やっと打ち明けられました。また、職場でも私たちの関係を否定されるようなことはないです。 池川さん 私は、まさか自分が女性とパートナーになるとは思っていませんでしたが、家族も友人も祝福してくれています。パートナーシップを宣誓したことをSNSに投稿したら、小学校時代の友人などが、たくさん「おめでとう」とコメントをしてくれました。 パートナーシップ宣誓制度があったから相模原市へ 鈴木さん 元々は市外在住でしたが、2人で住む家を探している中で、相模原市にパートナーシップ宣誓制度があることを知り、相模原で暮らすことを決めました。戸籍上で女性同士だと「友人」という扱いで物件を借りにくいことがあるのですが、宣誓予定だと説明したところ、スムーズに契約ができました。 多様な性があることが当たり前の社会になってほしい 鈴木さん 渋谷区が先駆けとなり、パートナーシップ宣誓制度が始まったことは、大きな第一歩だったと感じます。LGBTへの理解を広めようと個人で声を上げても、影響力は限られます。自治体が動くことで、全国へ広がるうねりになり、みんなの認識や社会が変わるきっかけになっていると思います。 池川さん 私は、パートナーがLGBTであることをきっかけに、知識の必要性を感じて勉強しました。海外で働いていた経験があるのですが、海外では同性の恋人同士が手をつなぐことなどは当たり前で、日常的な光景でした。みんなが知ることで、多様な性の在り方が受容される世の中になってほしいですね。 自分の経験を生かして当事者を支援したい~支援団体 からふるテラス~  本市パートナーシップ宣誓制度の立ち上げにも協力した、支援団体「からふるテラス」(平成31年設立)の皆さんに、団体設立のきっかけや活動の手応えなどを伺いました。 団体メンバーの3人 ハルさん、真(しん)さん、流(りゅう)さん(いずれも仮名) からふるテラス代表 真さん 副代表の流さんと昨年10月に本市でパートナーシップを宣誓した 親から言われた一言 「聞きたくなかった」 真さん 男女が付き合うのが普通だと考えていましたが、流さんと共通の趣味を通して出会い、お互いを特別な存在だと感じるようになりました。 流さん 真さんと出会った当時、高校生だった私は、母に聞かれた流れで彼女と付き合っていることを告げました。そのときに言われた言葉が「聞きたくなかった」でした。「家族を壊してしまうかもしれない」ということが怖かったです。それが変わったのは、3年前に結婚式を挙げる際に、決意表明の気持ちで両親に自分たちのことを打ち明けたとき。完全には理解してもらえませんでしたが、私たちの幸せな姿を見ているうちに、少しずつ両親の気持ちにも変化があったようです。 支援団体「からふるテラス」の立ち上げと活動の手応え 真さん 自分たちは性の在り方について相談できる人が身近にいなかったため、いろんな人が声を上げられる社会になる活動を相模原市で始めたいという思いから、支援団体「からふるテラス」を立ち上げました。 真さん からふるテラスでは、LGBTに関する市民講座に加え、当事者同士の交流会(クローズドミーティング)や、市内中学校など教育現場に講師を派遣する取り組みをしています。 流さん 講師派遣は、生徒だけでなく教職員に向けても行っています。ある中学校で、生徒向けに講演をする前に先生に向けた研修をしたところ、先生たちが「目の前の子どもたちの中に、今まさに悩んでいる子がいるかもしれない。まずは相談に乗ってあげられる仕組みづくりが必要だ」と気付いてくれました。 真さん 先生たちにアクションを起こせたことに、とても大きな意味があったと感じています。 流さん クローズドミーティングは、LGBTの人たちの居場所づくりの意味で始めたのですが、毎回さまざまな人が集まってくれて、活動の広がりを実感しています。 海外留学で悩みが吹っ切れた ハルさん 私は物心付いたときから「なんで女の子として生まれてきたんだろう」という思いを抱えていました。中学・高校生の頃は「自分が何者なのか」と思い悩み、絶望を抱えていました。その後、心機一転、カナダに留学したときに、自分を受け入れてくれた現地の人や、カミングアウトに対する自然な反応に悩みが吹っ切れました。性別をどちらかに決めるのではなく、自分は自分として生きる決意をしました。  昨年の夏に帰国して、インターネットで「からふるテラス」のクローズドミーティングを見つけたときは、ものすごくうれしくて。すぐに参加し、団体にも加入しました。 流さん しっかりした考えを持った、頼もしい新人さんです! ハルさん 私が中学生だった10年前は、LGBTという言葉は今ほど一般的ではありませんでしたが、相模原市にパートナーシップ宣誓制度ができたように、徐々に理解が広がってきていると感じています。海外のように、「性は多様である」ということがもっと当たり前の社会になってほしいと思っています。 誰もが働きやすい職場環境を目指して~社内で対応マニュアルを活用~  LGBTの理解促進に先進的に取り組む市内事業者に、その内容を紹介してもらいました。  私たちの事業所では、LGBTの当事者を含んだメンバーで「LGBTスタッフ対応マニュアル」を作成し、全社員に配布するとともに、LGBTをテーマとした研修の実施や図書の貸し出しなどを行っています。また、マニュアルの内容を抜粋した「LGBTスタッフ雇用上の取組みについて」を、弊社の採用面接を受ける人や、サービスの利用者に配布することで、社外に向けても、理解を広げられるように取り組んでいます。  周囲の知識不足などで、LGBTの人は生きづらさを感じることがあります。LGBT当事者を特別扱いするのではなく、みんながストレスを感じない仕組みづくりが大切だと考えています。 マニュアルでこんなことを取り決めています! ●アウティング(本人の同意なくセクシュアリティを他者に暴露すること)の禁止 ●基本的に、相手のセクシュアリティには触れない ●カミングアウト(本人が自分の意思で自身のセクシュアリティを他者に公表すること)を受けた場合の対応など パーソナルアシスタント町田 相模原事業所 障害のある人の地域での暮らしを支えるため、重度訪問介護や居宅介護、相談支援事業などを行っている セクシュアリティ(性の在り方)とは 主に4種類の要素で捉えると理解しやすくなります。 からだの性 身体的特徴から判断される、生物学的な性。戸籍に記載されている性別 こころの性(性自認) 女・男だけにとらわれず、自身の性をどのように認識しているのか 好きになる性(性的指向) どのような性の人が恋愛対象になるのか 表現する性 どんなふうに周囲から見られたいのか。服装、しぐさ、言動など 性的マイノリティ(性的少数者)とは  からだの性とこころの性(性自認)が異なる人、同性(あるいは両性)を好きになる人、自分の性別を男女どちらとも認識しない人などを、性的マイノリティ(性的少数者)と呼ぶことがあります。性的マイノリティの中から、主に右の4つの頭文字を取ってLGBTともいいます。 LGBT Lesbian(レズビアン) 性的指向が同性に向く女性 Gay(ゲイ) 性的指向が同性に向く男性 Bisexual(バイセクシュアル) 性的指向が異性にも同性にも向く人 Transgender(トランスジェンダー) からだの性とこころの性(性自認)に不一致を感じる人 カミングアウトや相談を受けたら  カミングアウトや相談を受けたときの大事なポイントは次の3つです。 1 「話してくれてありがとう」と伝える 2 必要に応じて「何かできることはある?」などと聞いてみる 3 本人から聞いた話を、勝手にほかの人と共有しない 市パートナーシップ宣誓制度 これまでに15組が宣誓!(2月末時点)  本市では、性的マイノリティの人の自分らしい生き方を後押しするために、令和2年4月から「相模原市パートナーシップ宣誓制度」を始めました。 ●宣誓者にはカードを交付します  お互いを人生のパートナーとして、協力し合いながら、継続的に日常の生活を共にしていくことを宣誓した性的マイノリティの人とそのパートナーに対して、「パートナーシップ宣誓書受領証カード」などを交付しています。 詳しくは、市ホームページをご覧ください 特定非営利活動法人SHIP 電話相談 SHIP(シップ)・ほっとライン 電話045−548−3980  性別への違和感や迷いなど、セクシュアリティに関する相談 日時 毎週木曜午後7時から9時 対象 性的マイノリティの当事者の人や、自分がそうではないかと迷っている人、家族や教員など当事者と関わる周囲の人 ---------- 市シティプロモーョンFacebookページ「相模原市シティプロモーション」 @sagamihara.pr https://www.facebook.com/sagamihara.pr 市シティプロモーションTwitter「相模原市シティプロモーション」 @Sagamihara_PR https://twitter.com/Sagamihara_PR