相模原の養蚕
令和7年度市民カメラマン
山科昌俊さんのリポート
令和8年3月
相模原で盛んに行われていた、蚕の繭から生糸を作る養蚕業について辿ってみました。相模原の養蚕は大正から昭和初期が最も盛んで、田名地区では9割の農家が携わっていたとの記録があります。
蚕は卵から孵化後桑の葉を食べて4回脱皮して成長(5齢)し、繭を作る時点(熟蚕)までには約1カ月程かかり、その体重はおよそ1万倍にもなります。蚕の成長が最も進む「5齢」の時期には、24時間体制で桑の葉を与える必要があり、農家は多忙を極めたといわれています。蚕に繭を作らせるための蔟(まぶし)に移すと、蚕は吐糸口(としこう)から糸の元となる液状絹(一瞬で固まる)を引き出し、頭と胸を8の字のように動かし2~3日かけて体の周りに、糸を約1,200〜1,500メートル吐き続け繭を作ります。できた繭を煮て、座繰りと呼ばれる道具などで糸を取り出したものが絹糸になります。
田名地区では6月~11月頃までに、3~4回ほど繰り返し飼育していたとのことです。蚕は温度や湿度に敏感で、カビの発生や病気などで全滅してしまう恐れもあることから、人々は蚕影社(こかげしゃ)を建立して養蚕の豊作と蚕の無事を祈り参拝していました。現在、市内の養蚕農家は2010年で全てなくなってしまい、桑畑も都市化と共にほぼなくなってしまいました。相模原には今も蚕影社などの養蚕が盛んに行われていた痕跡は数多く残っています。
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畑の廻りに植えられた桑の木
田名水道緑道付近(4月初旬撮影) -
食欲が旺盛になる5齢の蚕(体長約8cm)
(相模田名民家資料館展示) -
蚕はまぶしの中で50~60時間かけて繭を作る
(相模田名民家資料館展示) -
絹糸(相模原市博物館展示)
着物一揃い作るには、約1万頭の蚕が必要 -
田名地区堀之内に祀られた蚕影山神社
現在も春と秋に講が行われている
参考資料
- 相模田名民家資料館
- 相模原市立博物館「民俗の窓」
- 相模原市農業協同組合「広報取材」
- 農研機構ホームページ
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